小鳥を可愛らしく描きたいあなたへ・知っておくと良い鳥の体の仕組み

はじめまして。
画家の佐藤 静です。

小鳥を描く際に、その構造を知っておくと足の付き方や頭と胴体、
尾羽の関係なども不自然になりにくいですよ。

翼や骨格について説明していますので、へー鳥ってこんな感じなんだと
頭に置いておいてくださいね。

それでは、ご覧ください。


鳥の構造は哺乳類とは大きく異なり、とても複雑です。

鳥の絵を描く上で構造を知っていると、羽の付き方や流れを意識した作画がでるので、とても生き生きした立体感を感じられるようになります。

是非、ここで理解していただいて絵画制作に役立ててください。

スズメ目の各部の名称

「スズメ目の各部の名称」

上の「スズメ目の各部の名称」をご覧ください。

まず、アイリングは目の周りを一周するように生えている羽毛で、目の中心からみて放射線状に生えている細かい羽です。

羽は二重から三重に生えていて、よく目立ちます。

次に耳羽(じう)は耳の穴を覆っている硬い羽で、嘴の付け根部分から目の下を通り、目の後ろ側まであり、三角形状をした羽です。

鳥は止まっている間は体に密着するように翼を折りたたんでいます。

まず、風切り羽です。翼の先端にある初列風切(しょれつかざきり)が一番尾羽に近いところにまで畳まれています。

その上に被さるように次列風切(じれつかざきり)があり、更にその上に三列風切(さんれつかざきり)があります。

次列風切と三列風切を覆うように翼の元に近い位置にあるのが、雨覆(あまおおい)です。

風切に近い順から大雨覆(おおあまおおい)、その上に中雨覆(ちゅうあまおおい)、更にその上に小雨覆(しょうあまおおい)があります。

そして初列風切に被さるように位置しているのが初列雨覆(しょれつあまおおい)です。

更にその上に小翼羽(しょうよくう)があります。

この小翼羽は人の親指にあたる部分で、単独で動かすことができます。

それらすべてを覆うように肩の位置にあるのが、肩羽(かたばね)です。

尾羽の付け根にある羽で、上側にあるのが上尾筒(じょうびとう)と言い、下側を下尾筒(かびとう)と言います

羽の構造(風切)

特徴のある風切り羽をミクロ的に見ていきましょう。

「羽の構造」

この羽には前後があり、前側外弁(がいべん)は後ろ側内弁(ないべん)より少し細く出来ています。

羽の中央にある羽軸(うじく)は硬いですが柔軟性があり、軸の中は空洞となっています。骨に付いている部分は羽柄といいます。

羽軸から先端側にカーブするように羽枝が隙間なく生えています。

その羽枝を細かく見ていきますと、更に枝分かれしていて、その枝分かれした部分からも細かい分枝が出ています。

この羽の付け根あたりはふわふわした綿羽(めんう)が生えています。

これは保温や防水の役目をしています。

水鳥はこの綿羽が発達していて体の表面の羽の下に密集し保温効果がたかく、私たちを温めてくれるダウン製品に利用されています。

「綿羽」
「水鳥の羽毛」

水鳥の羽毛にはたくさんの綿羽があります。

翼上面

翼は折りたたんだ状態より、広げた方がその構造がわかりやすいです。

「翼上面」

初めにご覧いただいた鳥の図にある翼を折りたたんだ状態では、翼の構造がわかりにくかったと思います。

翼上面図では翼を広げた図になり、その構造が理解しやすいですね。

鳥は翼を広げるとき、次列風切と三列風切はあまり広がりません。

初列風切は扇状に動かすことができ、翼の付け根から一直線上になるまで広げることができます。

それに従い、初列雨覆も一緒に広がります。

翼を目いっぱい広げた時には、小翼羽を立てることがあります。

翼上面図では、羽の重なる順番もわかりやすいです。

鳥の骨格

鳥を描くときに翼の理解と、同じように骨格がわかっているとバランスよく描くことができます。

「骨格」

鳥の骨格の特徴の一つに竜骨突起(りゅうこつとっき)です。

体の正面にある平たい骨です。

鳥が飛ぶときに翼を動かすための巨大な胸筋が、この骨の両側に付いていて体重の約2割にもなります。

首の骨である頸椎が多いことが特徴です。鳥類は首を伸び縮させたり、回したりするのが得意です。

実は鳥の足が長いことに気が付くでしょう。

鳥の体の中に、大腿骨ひ骨(脛の骨)は隠れています。

外に出ている跗蹠骨(ふしょうこつ)は人でいうと足の甲の部分になります。

鳥はいつもつま先立ち状態なんですね。

翼の骨と羽の関係

鳥の腕の骨に風切り羽がどのように付いているのかを見てみましょう。

「骨と風切り羽の関係」

鳥の翼として見えている部分の羽は初列風切と次列風切です。三列風切りはほとんど胴体の近くにあり翼の一部とは見えないです。

初列風切は指骨(しこつ)と腕掌骨(わんしょうこつ)に付いています。

また、次列風切は尺骨(しゃっこつ)に付いています。三列風切は上腕骨(じょうわんこつ)に付いています。

小翼羽(しょうよくう)は人の手の親指にあたる部分で、そのほかの指に相当する骨は一緒になっています。

羽を広げる

羽を広げる様子

鳥は羽を広げるとき、上腕骨と尺骨の間の関節であるを伸ばし、尺骨と腕掌骨との間にある関節の手根(しゅこん)を伸ばします。

手根を伸ばしていくと、初列風切(茶色)は扇状に広がる仕組みになっています。

次列風切(青)や三列風切(赤)は初列風切ほどは広がりません。

まとめ

鳥の骨格や羽のつくりがわかってくると、写真をスケッチしていてもここは初列風切だからこうなってるはずだよな。とか、

写真を見てもはっきりしない部分でも、大体のイメージでこう描いた方がいいかななどと、良いように描くことができます。

見えていない大腿骨や脛の部分を想像しながら見えている足の位置や、頭蓋骨を想像して目と嘴のバランスなども適切に描くことができると思います。

ここまでご覧いただきありがとうございました。