私もヒヨドリはあまり観察しないんですが、この時はじっくりと見たというか見とれていました。
雪の降る日にある山の谷間にまだたくさんの実が残っていた柿の木がありました。
この木に多くのヒヨドリが集まっていたのです。
これを見た瞬間とてもこの風景に感動したのを今でも覚えています。
それでは、まずヒヨドリについて確認していきます。
Contents
ヒヨドリについて

改めてヒヨドリがどんな鳥かは皆さんご存じだと思いますが、もう一度おさらいしてみましょう。
どこでも見られる身近な鳥ですね。
姿もグレーで地味、鳴き声も甲高い声で耳障りなところが好まれずに、あまり見向きされない存在かもしれません。
食べ物は花の蜜が好き、桜の時期は花の蜜をよく舐めに来ているところに出会えますよね。
菜っ葉も好きで畑のキャベツなども食べてしまうので農家さんからは敬遠されます。
大体が群れで行動しています。
春に南から北へ渡り、秋になると南へ旅立ちます。この渡りも群れで移動しているのをよく見かけます。
英語名(brown-eared-bulbul)にもあるように耳の部分に茶色い羽毛が生えているのがチャームポイントですかね。
生息域は局地的で、日本の近隣だけなんですよ。世界に広く分布していないんですね。
それでは、今回のお題を描いていきます。
下描き
イメージ作りのために下描きをしておきます。
今回はF10のキャンバスを使いました。

柿木の位置や枝ぶり、鳥の位置を確認するために鉛筆で描いてみます。
背景を塗っていくとこの下絵は見えなくなりますが、頭の中に今描いたイメージを残しておくためです。
背景を描く
背景の下色を塗る
今回描く絵は雪が降り暗い景色をイメージしているので、少し暗いグレーで下色を塗っておきます。

全体に、グレーにリタ―ディングメディウムを加え水で薄めた絵の具を刷毛で全体に塗ります。
筆跡を消す
いつものように筆跡を消すために、スポンジを使います。

絵の具が乾かないうちにスポンジで画面を叩き、手早く筆跡を消していきます。
多少筆跡が残っても大丈夫!
背景の木と建物を描く
背景には雪の積もった木々と、建物(蔵のようなもの)を描きます。

下地に塗ったグレーより濃いグレーで木をイメージした形と、蔵のイメージを描いておきます。

少しグレーでもブルーグレーに近い色で形を意識して塗っていきます。
積もった雪を描く
木々や蔵の屋根に積もった雪を描いていきます。

真っ白ではなく、先に使ったブルーグレーに白を加えた少し明るいブルーグレーで雪の感じを出していきます。
雪の色も単一ではなく、白を多めに加えた色も作り描き分けます。
一層色を掛ける
乾燥したら、今描いた背景に一層色を被せていきます。

ジェルメディウムに濃い色のブルーグレーをわずかに加えた絵の具を作り、水を加えてうすめます。
これを全体に均一に塗っていきます。
色の濃さの様子を見ながら、数回に分けて塗っていきます。
柿の木を描く
柿の木の枝を描く
イメージでは光の少ない暗い景色となるので、黒に近い色で柿の枝を描きます。

黒に近いグレーに少しバーントシェンナを加えた色を作ります。
枝部分を丁寧に描いていきます。
この時、柿の実も同時に形を取っておきます。
柿の実を描く
今回の絵では唯一鮮やかな色となる柿の実です。

しかし、明度はそれほど高くありません。
オレンジ色に黒とバーントシェンナを加えたくすんだオレンジをまず塗っていきます。
弱いながら光は右上から来ていますので、その反対側の陰や他の実の影になっている部分には黒を少し多めに加えて陰色を付けます。
柿の木の雪を描く
柿の枝や実の上に積もる雪を描きます。

まずは、白に少しブルーグレーを混ぜた絵の具で一層目の雪を乗せていきます。
次にその上に白を強くした絵の具を、影にならない部分に乗せていきます。
更に、生の白に近い色を最も明るく見える部分に乗せていきます。
雪も全て同じように積もっているのではなく、沢山積もっている部分と殆ど積もっていない部分を描き分けます。
ヒヨドリを描く
柿の実を食べる2羽のヒヨドリと、柿の木に飛んでくる1羽を描きましす。

少し濃いグレーで鳥の羽の模様を描いていきます。
色の薄い部分を描く
背中と腹、頭部を薄い色で描きます。

腹の部分でも、陰になって入れば当然暗い色になりますので、飛んでいるヒヨドリの腹は色が濃いです。
頭部は薄いグレー色をしていて、尖ったような羽毛です。
背中や、腹、下尾筒の羽毛もの縁の色が薄くなっています。
耳の部分の羽毛は赤味がかった茶色で三日月のような形に描いていきます。
降る雪を描く
深々と静かに降る雪の粒を一つひとつ丁寧に描いていきます。

白に少しブルーグレーを混ぜた白で画面の奥に降る雪を小さめに描きます。
手前に降る雪は白を少し多くした白で描きます。
最も手前に降る雪は更に白い色で描きます。
降る雪は全部丸い形にせずにはしません。
六角形の雪の結晶が集まった複雑な形状をしています。
画面全体を見て均等に配置していきましょう。
最終調整
雪の白さや柿の明るさなどを調整します。

雪に明るい部分の白さの調整をしてます。
柿は雪が被さっている部分を暗くし、弱い光を受けている部分は黄色を混ぜたオレンジを少しだけ乗せます。
微調整が終わったらいよいよ完成です。
まとめ
今回描いた絵は太陽の光があまり届かない山の間の暗い場所にある柿の木とヒヨドリそして背景です。
はっきりした明るい風景ではないですが、雰囲気が伝わればよい作品です。
ですから、柿の木もヒヨドリも鮮明には描いていません。
いつもと違った雰囲気の絵画への挑戦となりましたが、如何でしたでしょう。
作画動画もありますので、参考にご覧ください。

ここまでご覧いただきありがとうございました。
こんにちは。画家の佐藤 静です。