自分はこんな絵が描きたいんだけど、どのくらいの大きさのキャンバスがいいかな?
構図を考えるとこんなキャンバスがいいんだけど、丁度よいのがあるかな?
などと悩むことがあると思います。
また、絵を飾りたい場所に入る絵のサイズはどのくらいになるのかが知りたいですよね。
そんな絵の大きさに付いて、キャンバスサイズから説明したいと思います。
Contents
キャンバスの大きさを知る
キャンバスの大きさについて説明をします。
キャンバスの記号の意味
日本のキャンバスには一般的にS、F、P、Mと呼ばれる大きさの決めごとがあります。
下の写真のように長辺を同じにして、短辺が少しずつ違っているのが分かります。
この例では40号で、その比率は短辺を1としたときの長辺の比率は、F:1.245、P:1.376、M:1.534 になっています。
このF、P、M、Sの記号の意味は、
- F⇒Figure 人物を描くのによいサイズ
- P⇒Paysage 風景を描くのによいサイズ
- M⇒Marine 海景を描くのによいサイズ
- S⇒Square 正方形
という意味があります。
しかし、Fサイズに海の絵を描いていけないわけではありません。
そこは自由ですよ。👌
キャンバスの数字の意味
F4とかP8とか記号の後ろに付いている数字はキャンバスの大きさを表す数字で、号数といいます。
Fの4号とかPの8号とかと言います。
この号数はキャンバスの長辺の長さで決まっています。
それでは、キャンバスの号数と大きさの表を見てください。
数字は長辺×短辺(mm)です。
表1 日本式キャンバスサイズ(mm)
号数 | F | P | M | S |
0 | 180×140 | – | – | 180×180 |
1 | 220×160 | 220×140 | 220×120 | 220×220 |
SM | 227×158 | – | – | 227×227 |
2 | 240×190 | 240×160 | 240×140 | 240×240 |
3 | 273×220 | 273×190 | 273×160 | 273×273 |
4 | 333×242 | 333×220 | 333×190 | 333×333 |
5 | 350×270 | 350×240 | 350×220 | 350×350 |
6 | 410×318 | 410×273 | 410×242 | 410×410 |
8 | 455×380 | 455×333 | 455×273 | 455×455 |
10 | 530×455 | 530×410 | 530×333 | 530×530 |
12 | 606×500 | 606×455 | 606×410 | 606×606 |
15 | 652×530 | 652×500 | 652×455 | 652×652 |
20 | 727×606 | 727×530 | 727×500 | 727×727 |
25 | 803×652 | 803×606 | 803×530 | 803×803 |
30 | 910×727 | 910×652 | 910×606 | 910×910 |
40 | 1000×803 | 1000×727 | 1000×652 | 1000×1000 |
50 | 1167×910 | 1167×803 | 1167×727 | 1167×1167 |
表では50号までしか書いていませんが、もちろんこの上も500号まであまります。
号数ごとの大きさの謎
よく見ると、大きさの寸法が中途半端なのに気づきましたか。
この号数がフランスから日本に入ってきた時に日本で使われていた寸法が尺貫法だったため、そこで日本の寸法に変換され、
また、日本の寸法がメートル法に変わった際にも変換されといった流れで、微妙にフランス式のサイズと違ってしまったらしいです。
表2 フランス式キャンバスサイズ(mm)
号数 | F | P | M |
0 | 180×140 | 180×120 | 180×100 |
1 | 220×160 | 220×140 | 220×120 |
2 | 240×190 | 240×160 | 240×140 |
3 | 270×220 | 270×190 | 270×160 |
4 | 330×240 | 330×220 | 330×190 |
5 | 350×270 | 350×240 | 350×220 |
6 | 410×310 | 410×270 | 410×240 |
8 | 460×380 | 460×330 | 460×270 |
10 | 550×460 | 550×380 | 550×330 |
12 | 610×500 | 610×460 | 610×380 |
15 | 650×540 | 650×500 | 650×460 |
20 | 730×600 | 730×540 | 730×500 |
25 | 810×650 | 810×600 | 810×540 |
30 | 920×730 | 920×650 | 920×600 |
40 | 1,000×810 | 1,000×730 | 1,000×650 |
50 | 1,160×890 | 1,160×810 | 1,160×730 |
フランス式では切りのいい数字ですよね。
ただ、号数が一つ大きくなるごとにサイズも大きくなりますが、
その大きくなる割合が号数と比例して大きくなっていないと思いませんか。
(下のフランス式の表を参照)
表3 フランス式キャンバスのサイズ(mm)
号数 | 長辺 | 長辺の長さ・上の号数との差 |
0 | 180 | ー |
1 | 220 | 40 |
2 | 240 | 20 |
3 | 270 | 30 |
4 | 330 | 60 |
5 | 350 | 20 |
6 | 410 | 60 |
8 | 460 | 50 |
10 | 550 | 90 |
12 | 610 | 60 |
15 | 650 | 40 |
3号から4号になると60mm大きくなるのに、4号から5号になると20mmしか大きくなりません。
なんでだろう~
次にそのF、P、Mの短辺に対する長辺の比率をカッコ()に記載してみました。
表4 フランス式キャンバスサイズの長辺と短辺の比率をカッコ内に表示
号数 | F | P | M |
0 | 180×140 (1.29) | 180×120 (1.50) | 180×100 (1.80) |
1 | 220×160 (1.38) | 220×140 (1.57) | 220×120 (1.83) |
2 | 240×190 (1.26) | 240×160 (1.50) | 240×140 (1.71) |
3 | 270×220 (1.23) | 270×190 (1.42) | 270×160 (1.69) |
4 | 330×240 (1.38) | 330×220 (1.50) | 330×190 (1.74) |
5 | 350×270 (1.30) | 350×240 (1.46) | 350×220 (1.59) |
6 | 410×310 (1.32) | 410×270 (1.52) | 410×240 (1.71) |
8 | 460×380 (1.21) | 460×330 (1.39) | 460×270 (1.70) |
10 | 550×460 (1.20) | 550×380 (1.45) | 550×330 (1.67) |
12 | 610×500 (1.11) | 610×460 (1.33) | 610×380 (1.61) |
15 | 650×540 (1.20) | 650×500 (1.30) | 650×460 (1.41) |
結構比率は似たような倍率ですが、一定ではないですよね。
この謎は、当時のフランスのキャンバスを織る機械によるものらしいのです。
織り機を調整する際にその範囲が決まっていたためこのようにせざるを得なかったということです。
そこから日本式の寸法も決まっていったようです。
織機の設定できる限界?
日本式のサイズ毎の長辺と短辺の比率を見てみましょう。
表5 日本式キャンバスサイズの長辺と短辺の比率をカッコ内に表示
号数 | F | P | M |
0 | 180×140 (1.29) | – | – |
1 | 220×160 (1.38) | 220×140 (1.57) | 220×120 (1.83) |
SM | 227×158 (1.44) | – | – |
2 | 240×190 (1.26) | 240×160 (1.50) | 240×140 (1.71) |
3 | 273×220 (1.24) | 273×190 (1.44) | 273×160 (1.71) |
4 | 333×242 (1.38) | 333×220 (1.51) | 333×190 (1.75) |
5 | 350×270 (1.30) | 350×240 (1.46) | 350×220 (1.59) |
6 | 410×318 (1.29) | 410×273 (1.50) | 410×242 (1.69) |
8 | 455×380 (1.20) | 455×333 (1.50) | 455×273 (1.67) |
10 | 530×455 (1.17) | 530×410 (1.29) | 530×333 (1.59) |
12 | 606×500 (1.21) | 606×455 (1.33) | 606×410 (1.48) |
15 | 652×530 (1.23) | 652×500 (1.30) | 652×455 (1.43) |
F4号の比率が1.38に対しP10が1.29と比率が逆転しているところがあります。
もう分からなくなってきました。
結局どのキャンバスにするかは自分で決めるしかないです。
キャンバスのサイズ(大きさ)については何となく分かっていただけましたか!?
キャンバスの表示
キャンバスのサイズは裏面の木枠に記載されています。
フムフム
家で絵を飾る際のサイズの意識
絵を買ったけど飾ろうと思っていた場所では入りきらなかった。
なんてことにならないように注意しておきたいポイントです。
自分は絵のサイズについて知っているから大丈夫と思っていても、飾ってみたら余裕が全くなかったということなる原因なのが、額の部分のサイズまで意識していなかったことがあります。・・・・・
絵のサイズがF10号でしたらキャンバスは530×455mmですよね。
この大きさに額のサイズを足して考えましょう。
絵だけ用意して、額を後から購入するのであればそこを調整できますね。
大きな額のサイズを見ていきましょう。
それからキャンバスのサイズにどのくらい額の部分を見ておけば、間違いないか参考にしていただけたらいいと思い調べてみました。
色々額を見てみると大体厚みは最大で100mm見ておけば大丈夫ですね。
上の図にあるように額が出っ張るのは、キャンバスの端から約100mmが最も大きなものになると思います。
F10号の絵画のキャンバスでは530×455mmが規格サイズですが、それに両サイド及び上下に100mmずつ加えてみると、
730×655mmになりますので、最大でこの位です。
額の大きさが分からないときは、キャンバスサイズに200mmずつ加えたら十分!
それ以上はないので家の飾る場所に入るか感覚的に分かると思いますよ。
まとめ
キャンバスってなかなか奥が深いですよね。
描く絵によってキャンバスの大きさをイメージします。
同時に、FにしようかP にしようかなど決めていきます。
私はあまり大きなサイズは描いたことがないので、いつか挑戦したいと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
こんにちは。
画家の佐藤 静です。