キャンバスと言えば木の枠に布地が張ってある絵を描く支持体ですよね。
キャンバスとは、本来張ってある布地の帆布のことを言います詞
帆布のカバンなども人気ですよね。
英語ではCanvasといいますが、俗ラテン語形容詞Cannapaceus”麻に由来するもの”が由来だそうです。
実は、キャンバスといってもは一つの種類だけではないんですよ。
キャンバスって種類があるんだ・・・
だったらどれに描けばいいの?
自分の技法にはどんなキャンバスを選べばいいのかが分かると思いますので、最後までお付き合いください。
まず、そのキャンバスについてどのように出来ているのかを説明していきますね。
Contents
キャンバスはこうやって出来ている
先ほども言いましたがキャンバスとは麻・亜麻(あま)のことですが、キャンバスの支持体に使われているのはこの麻だけではありません。
支持体・布地の種類
- 麻(亜麻/リネン):繊維が長く引っ張り強度が大きくて丈夫。水に濡らすと変形しやすいので、下地処理が必要です。下地処理剤は定着がいいです。
- 綿:滑らかな表面になりますが、強度が弱く、伸縮し易い。大きなサイズのキャンバスにはそのままでは強度が弱いので、板などに膠で接着して使います。
- 化繊:ナイロン、ポリエステルやビニロン繊維などがあります。表面は滑らかですが、強度が弱く、熱にも弱いです。
- 混紡:化繊だけの弱点をできるだけ少なくするため、化繊と麻や綿と混ぜて作られたものになります。
布目の種類
支持体は簡単に織れて強度の強い、平織で作られています。
- 荒目:使用する糸が太くて織り目が大きく、強度が最も高くなりますが、織り目がしっかり出ているので細密描写には向いていません。
- 中目:使用する糸が中くらいで、最も一般的な織り目で強度があり、どのような描き方にも対応が可能です。
- 細目:使用する糸が細くて、織り目が最も滑らかで、細密描写に向いていますが、強度的には弱いので、大きな作品には向いていないうえに、湿度の影響を最も受けやすいです。
こちらは世界堂で購入したキャンバスの裏側になります。
裏から見ると帆布の様子が分かると思いますが、枠は桐材で、布は麻の中目です。
下地作り
まず目止め処理を行います。膠やPVA(ポリビニルアルコール)などを塗り布の酸化を防ぎ、布の糸が動かないように固定します。
次に、下地作りをします。その種類には吸水性の違いにより三つあります。
- 油性下地(非吸収性下地):乾性油と白色顔料を混ぜたものを塗った下地。油絵の具専用の下地処理のキャンバスになります。水彩絵の具やアクリル絵の具では剥離してしまうので使えません。
- 半吸収性下地:ジェッソなどのエマルジョン下地を塗ったもの。最も一般的な下地処理で、すべての技法に使えるオールマイティな下地になります。市販のキャンバスの殆どはこの下地処理がされています。*他に膠水に顔料とリンシードオイルを混ぜて作る下地もあります。
- 吸収性下地(水性下地):白色顔料(炭酸カルシウムや石膏とチタニウムホワイト)に膠水などを混ぜて塗った白亜地とか石膏地と呼ばれる吸収性の下地になります。水彩絵の具やアクリル絵の具や油絵の具に使えます。吸収が凄く強いので、油絵の具の乾燥も早いです。作るのに手間がかかるのと硬く脆いのが欠点です。
*ただ塗るだけで、白亜地のような地を簡単に作ることができるアブソルバンという商品があります。
*一般的に画材店では木枠にキャンバスを釘で固定した『張りキャンバス』が売られていて、すでに下地処理もされています。
自分でも作れる
材料や道具は画材店でも入手でき、既成のキャンバスを購入するより安上がりになります。
まず、基本の木枠、画布、釘(タックス)、下地処理剤を揃えてあと必要なものはキャンバス張り器とハンマーそしてくぎ抜きです。
釘の代わりにガンタッカーでも大丈夫です。
木枠組み
木枠は杉と桐があります。
桐は軽くて安いですが、強度が弱いので大きなサイズには向いていません。小さいサイズに使いましょう。
大きなサイズは丈夫な杉を使いますが、重くなります。
自分で枠を作るのは大変で、ホゾを作る技術が必要になるので、既製品を購入した方が良いでしょう。正確に直角の四角を作ったり、水平にするのは意外と難しいです。
購入した木枠は木の角が丸くなっている方が布を張る表側になりますので注意しましょう。
ホゾを組む際には当て木をしながらハンマーで軽く叩いて組んでいきます。
角が直角になるように定規を当てながら行います。
画布を切る
画布は好みによって麻、綿、化繊等を選びます。
一般的なのは麻ですね。
市販のロールキャンバス(幅1.4~1.5M 長さ5~10M)をカットします。
画布は、組んだ木枠のサイズに木枠の厚みと2~3cmを四方にプラスした大きさに裁断します。
カット済みのものもありますよ。
できれば下地処理済のロールを購入するのをおすすめします。
画布を張る
木枠の中央と布を織り込む隅に釘を仮打ちする
まず、画布にテンションを加えながら、木枠の中央の四か所に釘を打ちま。
釘を打つ際は、まず指で釘をグッと押し込んで、釘の位置を決めてハンマーで垂直に打ち込みます。
次に四隅の角の最後に画布を織り込むところの四か所に仮打ちする。
仮打ちの段階なので、画布が固定できれば釘は完全に打ち込まなくて大丈夫です。
釘の本打ち
この段階で画布が均等に張れていれば、枠の中央に仮打ちした釘を一本ずつ抜き、張り器で引っ張りながら本打ちする。
四隅の仮打ちはそのままです。
木枠中央に本打ちしたところから角に向かって張り器でテンションを加えながら均等に釘を打っていきます。
釘を打つ位置は木枠の長さを考慮して、5~7cm間隔になるように初めに決めておきます。
画布を木枠に均等に釘を打てたら、四か所の仮打ちした釘を抜き、角の布を織り込んで釘を本打ちします。
*釘を抜く際は木枠を傷つけないように注意しましょう。
画布は湿度によって伸縮するので、
湿度の高い環境でやった方がいいよ!
まとめ
これらの情報を知っていれば、自分がどの絵の具でどのような絵を描いていきたいかによって、選択した方が良いキャンバスが分かってきますよね。
自分は油絵の具で大きなサイズを描きたいのか、アクリル絵の具で小さいサイズの絵を描きたいのか、絵の具は厚塗りか、薄塗かなどでどのキャンバスにするか決めましょう。
初めはSMサイズ~F6号サイズの既成キャンバスに描くことをお勧めします。
あまり、難しく考えずにやってみましょう。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
こんにちは。
画家の佐藤 静です。