以前にも筆に付いての情報を発信していましたが、改めて今回私の使っている特別な筆全てをご紹介しますので、最後までご覧ください。

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特殊筆三選
1. フィルバート(Filbert Brush)
非常によく使う筆になります。
塗り跡が残りづらく、万能な筆ですね。

形の特徴
- 平筆の先端をゆるやかなカーブにカットした形。
- 平筆の塗りやすさと丸筆の柔らかいタッチを合わせたハイブリッド型。
- 幅広くも細くも描け、ブラシ跡が目立ちにくい。
主な使い方
- やわらかいエッジの塗り:背景やグラデーション、花びら、雲そして鳥の羽など。
- 細〜太のストローク切り替え:筆の角度を変えるだけで太細が自在。
- ぼかし作業:硬い境界をぼかす時に、先端部分の曲線を柔らかく使うことで可能。
- 楕円形・丸みのある形状描写:果物、花、肌など有機的な形。
特徴・効果
- 筆を入れた部分や抜きの部分の跡が柔らかく、四角い角が出にくい。
- 均一な塗りから自分の感覚に合わせた筆跡まで対応。
- 初心者〜上級者まで万能で扱いやすい。
2. アンギュラー(Angular Brush / Angular Shader)
穂の部分を斜めにカットしてあるので、角度の違った角を使い分けで、色々な表現が出来る。

形の特徴
- 平筆の毛先を斜めにカットした形。
- 長い毛側と短い毛側で厚みが変わり、角度付きストロークが可能。
- 線描き・細部・隅への塗り分けに強い。
主な使い方
- コーナー塗り:キャンバスやモチーフの端をきれいに塗り分けられる。
- ラインと面の同時描き:角度を使って線やエッジを一筆で描ける。
- グラデーション作り:塗る前の絵の具をグラデーションして、先端の長い毛から短い毛へと絵の具を付け分けて自然な色の変化が出来る。
- ストロークの方向付け:筆を丸くカーブを描く様に使えば葉っぱや羽など、流れのある形の表現が出来る。
特徴・効果
- 斜めカットにより手首の自然な角度を保って穂の先端を使いやすい。
- 狭い場所の塗りや複雑な形状の境界塗りが楽。
- コントロール性が高く、シャープなデザイン的なラインに向く。
3. オーバル(Oval Brush / Oval Mop / Oval Wash)
猫の舌型ともいわれる独特な形をしていて、使い方も様々な技法に対応できる可能性が大きい筆

※種類によって毛質や長さが異なるので、ここではアクリル用のオーバル筆全般を解説します。
形の特徴
- 毛先全体がなだらかな半円形。
- 丸筆より広く、平筆より柔らかい塗り心地。
- 広い面塗りから細い線まで描ける。
主な使い方
- ぼかし・ブレンディング:滑らかなトーン移行に最適。
- 背景塗り・ウォッシュ:筆の穂全体を使って広い面を塗るのも適していている。
- ソフトエッジの形描写:筆の先端を使って、物の輪郭から花びらの形、髪の毛など柔らかく描ける。
特徴・効果
- 先端と広い面の両方を使いながら筆跡がほとんど出ない柔らかい塗り面。
- フィルバートと逆にカーブした筆先を使い、モチーフに自然な丸みを付けることが出来る。
- 毛質が柔らかめのものは、水分や絵具をたっぷり含む。
特殊筆選びのイメージ
筆タイプ | 形の特徴 | 得意な表現 | 仕上がりの印象 |
---|---|---|---|
フィルバート | 平+丸の融合、先端カーブ | グラデ・柔らかい形、太細変化 | 柔らかく汎用性大 |
アンギュラー | 斜めカット | エッジ塗り、角の処理、葉や羽のストローク | シャープでコントロール性高 |
オーバル | 半円形の広い面 | ぼかし、大面積塗り、柔らかい輪郭、細い線の輪郭 | 滑らかで均一感 |
その他の秘密の筆
コリンスキーヨーロッパ面相(笹部)
これは笹部洋画材料店で販売されている特殊筆です。
コリンスキーの筆ながらそれほど高価ではありません。

普通のラウンドブラシのように使うことができるのですが、細い先端を使った細い線を描くのに向いています。
元の部分が太く絵の具の含みがとてもよく、細く長ーい線を描いたりするのも特異です。
途中で絵の具が途切れることなく描けるのが一番の利点になります。
現在10号の筆は売り切れの様です。(2025年6月時点)
ネイルブラシ
絵画用筆ではないのですが、ネイルブラシなので爪に絵を描く筆という点では絵を描く道具ということに変わりはありませんね。

これまで、面相筆の小やキャムロンプロの極細筆を使て細かい部分を描いていましたが、今ではこのネイルブラシを使うことが多くなっています。
何といってもコスパが良いのが最高!
コーム筆
名前の通りの櫛型に筆の穂をカットしてある形状をしています。

一度に複数の繊細なラインも描け、
細いラインを一度に何本も引くことができます。
これをうまく使えば、ツイード柄、羽根や動物の毛並みや木目調の模様など可能性はアイデア次第!


アイデア次第で、様々な塗りやデザインが可能!
これって自分でも作れるかも。傷んだ筆をカットして・・・・
どの筆を選ぶ?
どの筆を選ぶかは筆の形状や材質を知っておくと良いでしょう。
それでは特殊筆ばかりでなくこれまでご紹介した筆の特徴を改めて見ていきましょう。
筆の材質についてのおさらい
ここで説明した筆の形状でも各社で穂の種類が違ったりして、描き心地も異なりますので使った感じで自分に合った材質を見つけるのも楽しいかもしれませんね。
そこで毛の材質についておさらいです。
【豚】
油絵に使われるザクザクと描くのに適した筆です。硬毛で弾力と耐久性があるのが特徴です。枝毛
があり絵の具の含みが良い。カスレを生かした絵にも適してます。
【マングース】
豚毛の次に硬く硬めの毛質です。
【狸(ラクーン)】
絵具の含みが良く毛先に強さがあり、復元性の高いのが特徴でソフトタッチに描けます。
【羊】
毛が柔らかく、刷毛によく使われる材質です。
【馬】
最もスタンダードな筆用の毛です。柔らかい毛質でほどほどの復元性があります。馬の部位によっ
て性質が違います。
【リス】
柔らかく細かい毛質で弾力はありませんが筆の穂先のまとまりが良い。
【セーブル】
弾力に富んで絵の具の含みが良く、軟毛の代表格です。中でもコリンスキー(ロシアイタチ)毛は
穂先のまとまりが良く、細密な描写に適していますが「高価」です。コリンスキー、イタチやテン
を含めて『セーブル』と称されています。
【リセーブル】
合成繊維で繊維に特殊処理を施し、セーブルのような描き心地があるセーブルと合成繊維の良いと
ころを併せ持ちます。
【合成繊維】
ナイロンが代表で、弾力があり穂先の纏まりが良く、最も安価です。手入れがしやすいのでアクリ
ル画用によく使われますが、絵具の含みはあまり良くありません。
筆の形状のまとめ
穂先の形は通常の平筆(フラット)と丸筆(ラウンド)があれば殆どの絵を描くことができます。
基本の平筆と丸筆以外の筆の形状が違うものを上手く活用して様々な描き方や塗り方など絵の幅を広げていくことができます。
【丸筆】
最もオーソドックスな形をしていて、絵具の含みが良く、方向性が無いので自在な描画が出来る。
細部の描き込みにも適したオールマイティな筆でする。
【平筆】
広い面やベタ塗りに適した四角い形で、向きを変えて細い線も描ける。
グラデーションやぼかしを作る際には刷毛の様に使える。
【フィルバート】
フラットの角が丸くなった形。下書きから仕上げまで多岐に活用出来、様々な柔らかな描写が出
来る筆です。
【扇筆(ファン)】
平らな扇形。絵具の含みを極端に少なくしており、境界線をぼかしたり、風景画の木の葉などを描
ける。
【スクリプト】
穂の長い面相筆。絵の具の含みが良く、細く長ーいストロークの線を描くのに便利な筆。
【オーバル(キャッツタン)】
雫型のように先が尖った形。猫の舌型とも呼ばれる。穂先の向きを変える事で線描きも平塗りも
これ一本で出来る多様な描画が可能なとても便利な筆。
【アンギュラー(アングル)】
斜めにカットされた形。二つのエッジを利用したシャープな描写が出来、また丸く円を描く様に
使えば曲線のある描写も得意です。
まとめ
これまで色々な筆に付いての情報をお伝えしてきましたが、興味のある筆はありましたか?
文章だけ読んでもなんとなくは分かりますが実際には使ってみないことにはよくわからないですよね。
筆の種類が多くて選択に迷う方はまず丸筆(ラウンド)、平筆(フラット)の大中小を揃えることから始めて見てください。
これがあれば大概の絵は描けます。
描いているうちに違った筆も試したいと思ったらこの投稿を見直していただき、ご予算にあった筆を探してくださいね。
時々自分に合った良い筆に出会えることがありますよ。

ここまでご覧いただきありがとうございました。
こんにちは。
画家の佐藤 静です。